2年9ヶ月ぶりにダイビングに復帰しました。
2011年10月9日、重度のⅡ型減圧症になってしまいました。 胸から下の半身完全麻痺、上肢の震顫、聴力の低下、視野狭窄、24時間絶え間なく襲いかかる激痛。 まさに悪夢の日々でした。 医療スタッフの皆さんの、素晴らしい治療と、リハビリ、家族や友人の支えもあり、カタツムリが這うようにゆっくりと、行きつ戻りつ回復の道をたどってきました。 そして、2014年7月5日、妻のバックアップの下、2年9ヶ月ぶりのダイビングです。 潜るのは、もちろん錦江湾。沖小島へ・・。 潮の香りと、頬を切る海の風がたまりません! ポイントは「ネジ畑」、梅雨の大雨続きで濁っています。 沖小島ではたくさんの小鳥のさえずり。 毎日のように潜った記憶が蘇って来ます。 四苦八苦しながら、ウェットスーツを着、ダイビング機材を準備します。 体がまだ思うように動かず、以前はたやすく出来たこともなかなかできません。 タンクは酸素分圧50%のナイトロックスと純酸素を準備しました。 再発を避けるため、残留窒素を0にしてからエキジットする段取りです。 エントリーは、フロントロール。 懐かしい感覚です。 水面を突き破り、泡に包まれる最高の瞬間。 予想通り、下半身はあまり動きませんね・・。 でも、重力に開放されて、痛みが軽くなります。 妻に誘導され、海底へ。 懐かしい海底。この岩、この石、このサンゴ、何も変わってません。サンゴはちょっと大きくなったかな。 錦江湾の岩。生物のカオスとなった岩。 クマノミはもう、卵を守っているなあ。 岩陰をのぞくと早速目に飛び込んできたのは、昨年生まれのマダラギンポのチビ。 なにやら怪しい動きをするのは、ムスメウシノシタのオス。 左奥の砂底に潜って目だけ出しているメスに猛烈アピールです。気合が入りすぎて、えび反ってます(笑) 経験豊富なオトナのオスならこんなことしませんよ。 メスの上、それも頭をおおいかくすように乗っかっちゃいました! これではメスは息ができません。苦しそうに悶えています。 メスは苦しくって逃げちゃいました。 哀れ振られたオス君。 メスのお腹は手前の体側に沿って、熟した卵巣でふくらんでいます。 砂底に目をやると、いましたいましたヒラタブンブク。 砂底をたくさん耕して、海底を綺麗にしてね。 ちょっと深い方、といっても7mほど。 アカオビハナダイが群れています。小さなメスたちが主な構成。 オスも一匹いたのですが、逃げて行っちゃいました。 突然、目の前を覆う、キビナゴの群れ。 今回のお目当てはキビナゴの産卵だったのですが、まだ水温が低いようですね・・。 メタリックな輝きと動きに目が付いていきません。 お腹はパンパンなので、きっとたくさんの卵をもっているのでしょう。 キビナゴの群れに囲まれてしまいました。 事故以来、いやそれまでも、懸命に僕を支えてくれた、妻尚子。 いくら感謝しても、しきれません。 最大水深7.7m。潜水時間66分。 浅く、短いダインビングでしたが、四六時中、思い焦がれた海中世界です。 心の底から、楽しくて、感動しました。 僕が苦しんでいた時間も、海の中では脈々と生き物たちの時間が流れていたんですね・・。 陸の上では、まだ激痛に苛まれ、動きもままなりませんが、海中では浮力に支えられ、とても快適な時間を過ごすことができました。 まだまだ辛い、治療、リハビリの日々が待っており、激痛の日々も続くでしょうが、海にまた潜れたことが大きな力となりました。 新しいダイビング生活が今からスタートです。 主治医、看護師の皆さん、理学療法士の皆さん、家族、友人たち、支えてくださる方々への感謝の気持ちでいっぱいです。 本当にありがとうございました。 また、ゆっくり、焦らず、海の世界へ戻っていこうと思っています。
by geikai_diver
| 2014-07-06 10:09
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